事業の開始が会社の開始

会社設立ではなく事業の運転開始が会社の開始


会社設立とは、あくまでも会社という法人組織を設立するための手続きであるに過ぎません。

この会社設立は、法務局でその設立登記を行い、それが受理されれば完了します。

現在では、商法が改訂されて最低資本金制度というものがなくなったために、資本金ゼロでも株式会社設立ができることになり、株式会社であっても会社設立は容易に行えるようになったので、会社設立に要する初期費用も法務局への設立登記に要するものだけでも済む、というようになっているわけです。

しかし、会社法人とはあくまでも事業を行うために設けられる組織ですから、つまりは、この会社設立という設立手続きが会社の実質的なスタート、というわけではないのです。

事業体としての会社の実質的なスタートとは、文字通りに、その事業活動が開始されることなのです。

この事業活動を行うことを会社(事業)の運転と呼んでいるのですが、このために、会社はその事業活動を行うための資金を必要とし、これが運転資金と呼ばれているものであるわけです。

確かに、商法の改訂によって、最低資本金という会社設立当初の費用負担の重荷はなくなったわけですが、事業体である会社にとっての本当の必要資金とは、まさにこの運転資金なのです。

実際にも、会社の事業がスタートすれば、会社は常にこの運転資金の調達という重荷を背負って行かなければならなくなるのです。

もちろん、この事業活動に要する費用は、その全てを自社で賄うことが出来ればそれに越したことはないのですが、実際にはそんなことが出来ている会社はごく稀である、と言えるでしょう。

このために、この事業活動資金は銀行を始めとする金融機関から借り入れる、というのが企業社会のまさに常識となっているわけです。

この金融機関からの融資資金である借入金の額が、企業の資産状態を表す財務諸表である貸借対照表の右上に、「負債」という名の「他人資本」として記載されることになります。

従って、企業の財務担当者は、この資金調達に汗を流すことになるのですが、この事業資金をやり繰りすることが「資金繰り」と呼ばれているものなのです。

企業にとって、銀行を始めとする金融機関というものが欠かせないものとなっているのは、ほとんどの企業が事業資金の調達を金融機関からの融資に拠っているからで、大手企業の場合には、メインバンクという固定的な資金の融資元を確保していることで、その資金供給の安定を図っているわけですが、中小零細規模の企業にとっては、非常に厳しいものとなっているのが、会社の死活を左右するこの運転資金の調達となっているのです。”